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通の編集部インタビュー~「月刊ダム日本」

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「ダム」…と言っても、カラオケではありません。詳しくは知らない方でも「あぁ、あの山間にあって水をためておくコンクリートの大きな壁?あ、池?」くらいのイメージはお持ちかと思います。その「ダム」です。「ダム」に対してなんとなくのイメージはあっても、「ダム」を様々な角度から取り上げる専門の月刊誌があることをご存じの方は少ないのではないでしょうか。
「どのような人たちが読者層なのか?」
「ダムとはなんなのか?」
「ダムの魅力とは?」
様々な疑問をクリアーにすべく、今回は、日本ダム協会(ダムの研究や建設の促進を実施している法人団体)で「月刊ダム日本」の編集を担当されている廣池透(ひろいけとおる)さんにお話を伺いました。

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日本ダム協会の廣池さん

 汁マガ(以下、汁):そもそもですが、ダムの役割とはどのようなものでしょうか。
廣池さん(以下、廣):日本ダム協会で扱うダムは水をためるダムです。砂防ダム(土砂災害防止のための施設)や鉱滓ダム(鉱山で使用する施設)は含みません。
ご存じの通り、最近はゲリラ豪雨があり水害が起こっています。一方、雨が降らないと渇水になります。このような、雨の降り方に『ムラ』があるので、当然川を流れる水も多かったり少なかったりします。多い時の水をためて、少なくなった時に使う、そういう巨大な装置がダムなのです。
具体的には、洪水の時には水害を軽減し、ためた水は水道や、水力発電、農業用水、工業用水、河川の環境を守るための維持用水などに使われます。
その他にも、ダム湖は新たな水環境として人々に安らぎの場や、ウォータースポーツの場を提供したりもしています。 

汁:「月刊ダム日本」発刊の背景と基本方針をお聞かせください。
廣:そもそも、ダムに関する様々な情報提供のための機関誌です。最近では、ダムを趣味の対象とする方も増え、そのような方々も読まれるようになりましたので、愛好家のための記事も掲載するようになりました。基本方針としては、ダムに関する様々な情報を提供することを考えていますが、情報を集積することによるデータベース的な役割も持つようにと考えています。

汁:主な読者層はどのような方々でしょうか。
廣:ダムに関係する職業の方々。ダムの発注者(国交省、農水省、水資源機構、都道府県のダム関係部署、電力会社など)、ダムに関わる諸団体、ダムを施工する建設会社、建設コンサルタントなどですね。

 汁:人気のコーナーを教えてください。
廣:人気投票を行ったことはありませんが、ぱっと見て楽しめるグラビアページは、手にした人がまず最初に開いて眺めますので、人気があると思います。

 汁:現在までの制作において、特に印象深かったエピソードはありますか。
廣:連載ものの執筆陣を除いて、ほとんど毎回執筆者が変わり、その都度、皆さん個性ある原稿を出されますので、毎回が印象深いといえるかも。

汁:各地のダムを巡ったり、イベントを開催したりするダム愛好家の方々がいらっしゃるそうですが、愛好家を惹きつけてやまないダムの魅力とはなんでしょうか。
廣:ダム愛好家の皆さんは、ダムを見る時に様々な嗜好や視点をお持ちで、たとえばアーチダムが好き、

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アーチ式ダムの鳴子ダム(撮影:廣池さん)

重力式コンクリートダムが好き、

重力式コンクリートダム(宮ヶ瀬ダム)-min

重力式コンクリートダムの宮ヶ瀬ダム(撮影:廣池さん)

フィルダムが好き、

ロックフィルダム(奈良俣ダム)-min

ロックフィルダムの奈良俣ダム(撮影:廣池さん)

小さいダムが好き、放流シーンが好き、洪水をめいっぱいためて奮闘している姿に感動する、豊かに水を湛えたダム湖が好き、高いダムの天端から遥か下の方を眺めるのが好き…など、いろいろです。つまり、それだけダムには見方によって、様々な魅力があるということです。一般的には、山深い場所にいきなり現れる巨大人工構造物ということで、そのギャップが魅力の根源にあるのかも知れません。

汁:初心者にオススメのダムを教えてください。
廣:日本全国にダムはありますので、まずはお住まいの近くのダムに出かけていただくのが良いと思います。定番ではありますが、観光地のダムとして一番有名なのは、黒部ダム。一度は行ってみられたら良いと思います。東京近郊だと神奈川県にある宮ヶ瀬ダムや、3つの型式(重力式コンクリートダム、アーチダム、ロックフィルダム)が割と近くに集まっている群馬県水上の藤原ダム・矢木沢ダム・奈良俣ダム。あるいは栃木県の鬼怒川上流のダム群も一度にいくつもダムを巡ることが出来ておすすめです。

汁:「これはちょっと珍しい」という変わり種のダムはありますか。
廣:ダムは一品料理のようなものですので、それぞれのダムが特徴を持っていますが、その中でも香川県の豊稔池ダムは西洋のお城のような雰囲気を持っているので、珍しいといえるでしょう。最近いくつか建設されている、通常は水をためない『流水型ダム』というものも珍しいといえるかも知れません。それと、姿が見えない『地下ダム』というものもありますので、これも珍しいかな?
ちょっと前だと、堤体下流の黒ずみを通販でもおなじみになったケルヒャー社の高圧洗浄機で部分的に除去して、巨大な絵を描いたダムもありました。今ではまた黒ずみが付いて、絵は消えてしまっているようですが。

 汁: ダムカードなるものがあるそうですが、どのようなものでしょうか。
廣:ダムの写真、目的、型式が表に、裏には諸元やランダム情報、こだわり技術などが掲載されているカードです。ダムごとに造られていて、基本的にはそのダムに行った人1名につき1枚しかもらえないというカードです。

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収集家垂涎のレアカードも存在。 写真は廣池さん所有のもの(のごく一部)

汁:廣池さんにとって、ずばり「ダム」とはなんでしょうか。
廣:ふと気づいたら、なぜかいつの間にか、関わっていた存在。
小さい時(小学校1年生くらい)、特撮の草分け的某番組で怪獣がダムを壊すのを見たのがダムとの出会い(たぶん)。高校の修学旅行では黒部ダムに行き、大学では見学や実習でダムに行き、就職は不思議なご縁で日本ダム協会。なんだか運命づけられているような感じ。名前もダムにちなんだような名前だし、前世はダムだったのでは?(そんなバカな(笑))

 汁:本日はお忙しい中、ありがとうございました! 

 もともと編集を担当される予定ではなかったという廣池さんですが、現在、企画、撮影、ライティングに編集作業と、「月刊ダム日本」をその腕一本で支えるスーパー編集マンとして大活躍されています。もしかして本当に前世はどこかの立派なダムだったのかも知れませんね。d2-min

 普段の生活において、身近には感じられなくても、私たちの暮らしを深い山間や人里離れた地でしっかりと守ってくれているダム。そして、そのダムもまた、建設関係や設備管理の関係者の方だけでなく、廣池さんのような編集に携わる方や、多くの愛好家の方によって支えられているのだと知り、以前よりダムという存在が身近に感じられるようになりました。一度はこの目で、ダムを見に行きたいと思います。

「月刊ダム日本」の紹介記事はこちら

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